理事長あいさつ
公益財団法人セイコーインスツル新世代研究財団(ATF)は、文部科学省認可の財団として1993年に設立されました。2012年4月には公益財団法人として内閣府に認定され、2023年11月に現在のセイコーインスツル新世代研究財団に名称変更いたしました。設立以来、学術振興と若手研究者の育成等を目的に、学術界や社会の要請に応える様々な活動を展開してまいりました。任意団体としての活動歴を加えますと2024年で38年となります。この間、特に注力してきた点は、学問の境界を越えた研究者交流とそのための場作りです。それらの成果には、予想外の科学シーズの創出やメンバー間の研究連携の機会も提供してきた研究会活動等があり、また社会の科学技術啓蒙を目指した公開市民フォーラム事業で多くの一般の皆様にご参加頂きました。
当財団がこれまで最も注力してきた学術分野はナノ科学と技術の研究開発、普及への貢献です。30数年前から、この分野に焦点を当てて来ました。今日ではナノ科学は物質構造をナノメータレベルで制御し、その機能と構造の相関性が高度に理解されるようになり、今や先進の基盤技術として各方面に応用され、社会貢献を果たす領域となりました。一方、ナノサイエンスはさらなる学術的深化も期待されるところであり、 当財団の対象テーマとして継続してその発展に寄与しようとしています。
財団運営に当たっては常に時代の要請に的確に応える運営体制を構築し、そのもとで活動を推進しています。近年は、理学、工学、生物学を横断的に統合した研究会、場作りの一環として異分野の研究者が一堂に会し、境界を超えて議論して啓蒙し合うATFコンファレンスを運営の中心に据えています。そしてかかる財団活動について機会をとらえて広く社会に情報提供し、引き続いて関連の学術の振興に貢献してまいる所存でございます。
まとめに、当財団活動にご理解とこれまでにも増して温かいご支援を賜りますようお願い申し上げ、ご挨拶と致します。
2024年7月
理事長 遠藤 守信